『そっと背中を押してくれる(仮)』①①
- 2021.04.25
- 小説
梨沙子は29歳の時、当時付き合っていた彼にプロポーズされた。
友人の紹介で知り合った同い年の彼とは1年付き合った。
彼の転勤に伴いついて来てほしいと言われた。
ついて来てほしいと。
ごめんなさい、ついてはいけないと。
彼は分かったと言った。
そして、そのまま彼とはなんとなく連絡を取らないまま関係が終わった。
遊びを知っている、常に刺激を求めている彼との時間は楽しかったが、落ち着ける関係ではなかった。
でもそんなのは関係なかったのかもしれない。
梨沙子自身、仕事のこと、結婚のこと、将来のこと、自分の人生に自信を持てないでいた。
それから自分の人生のこと将来のことから少し目を背けていた。
他のことに目を向けて、少しずつ自分の生活を楽しめるようになって2年、そんな時に出会ったのが健二だった。
(続く)
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