『そっと背中を押してくれる(仮)』①①

『そっと背中を押してくれる(仮)』①①

梨沙子は29歳の時、当時付き合っていた彼にプロポーズされた。

友人の紹介で知り合った同い年の彼とは1年付き合った。

彼の転勤に伴いついて来てほしいと言われた。

ついて来てほしいと。

ごめんなさい、ついてはいけないと。

彼は分かったと言った。

そして、そのまま彼とはなんとなく連絡を取らないまま関係が終わった。

遊びを知っている、常に刺激を求めている彼との時間は楽しかったが、落ち着ける関係ではなかった。

でもそんなのは関係なかったのかもしれない。

梨沙子自身、仕事のこと、結婚のこと、将来のこと、自分の人生に自信を持てないでいた。

それから自分の人生のこと将来のことから少し目を背けていた。

他のことに目を向けて、少しずつ自分の生活を楽しめるようになって2年、そんな時に出会ったのが健二だった。

                                                                        

(続く)