『そっと背中を押してくれる(仮)』①⑧
- 2022.02.09
- 小説
その日は朝から曇っていた。
健二は10時頃、家を出て行った。
クリニックの予約は13時からなので、12時過ぎに家を出れば間に合うが
すでに身支度が整い終わり落ち着かない様子でテレビを眺めていた。
結局、いつもの癖で早めに家を出ることにした。
クリニックに向かう電車の中、入り口付近に立ちながら窓の外を眺めていると
雨が降り始めた。なんだかついてない日だなという思いが不安な気持ちにさせる。
クリニックがある最寄り駅に着いた。
クリニックは駅からすぐ近くのところにあり、前日から道順も調べてある。
駅のホームに降り立つと、ホームからもクリニックが見える位置にあった。
緊張が増してきた。
深呼吸をする。
時計を見ると12時を回ったところだった。
そして顔をあげるとちょうどクリニックの入り口から一組の男女が出てきた。
そこにいる男性は私のよく知る人だった。
(続く)
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