小説

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『そっと背中を押してくれる(仮)』②

  • 2020.11.07

立花梨沙子は、今年で33歳になる。 誕生日がまだ来ていないので、正確には32歳である。 前の恋人と別れて3年近く経つ。 もうすっかり一人の生活にも慣れてきて、日々充実した生活を送れていると思う一方、 将来に対する不安や焦りを感じないわけではない。 それらの気持ちのザワザワを打ち消すために、ヨガ教室に通い始めたり、 最近は家で一人飲みに凝り始めたりしている。                      […]

『そっと背中を押してくれる(仮)』①

日曜日の午前7時。梨沙子はリビングのソファでぼんやりと窓の外を眺めていた。 窓の外に広がる景色は雲ひとつないすっきりした青空で、 まるで、梨沙子の今の気持ちを表しているようである。 今日は、9月25日。 日曜日。 昨年の5月に健二と出会い、ある約束をした日から今日でちょうど1年。                                                             […]

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